バルミューダのトースター

バルミューダとは

バルミューダという会社があります。
設立は2003年という21世紀になってからの会社ですから、今の日本では新興企業といっていいと思います。
バルミューダを有名にしたのが、グリーンファンという高級扇風機。
グリーンファンのヒット以降、大手家電メーカーも後追いでDCモーターの高級扇風機を出し始めたのは記憶に新しいところです。もっとも、うちで使ってるのは数千円で買える中国メーカーのDCモーター扇風機ですが。。扇風機は日本で生産してないし、大手メーカーといえども中国メーカーのOEMなんだから、別に中国メーカーでもたいして中身は変わらないと思うので。

閑話休題

さて、バルミューダのここ最近のヒット商品といえば、ザ・トースターです。
https://www.balmuda.com/jp/toaster/
パン好きのためのパン専用トースター、テレビや雑誌で結構特集されたので、知ってる方も多いと思います。パン派の自分は発売されてすぐ購入し、三年近く使用し続けていますが、これでパンを焼くとホントにパンの味が変わります。パン好きには手放せない商品です。商品の寿命がどのくらいなのかはわかりませんが、壊れたらまた買うつもりです。
後追い大好きな日本の大手家電メーカーも新商品のオーブントースターにパン専用モードを搭載していたりしますが、どのくらいきちんとした性能なのかがよくわからないんですよねえ。日本の大手家電メーカーがつくる白物家電って、ついては消える「新機能」があまりにも多いので。

「人びとの体験」を売る

ザ・トースターが発売された当初、バルミューダの社長である寺尾玄と糸井重里さんの対談が、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載されました。
https://www.1101.com/terao_gen/

この対談がとても面白かった。なかでも特に印象に残ったのが「扱うのは人びとの体験」、という言葉で、これって家づくりも同じだよなあ、と共感できました。対談の中で寺尾さんはこう述べています。「ふつうの道具と私たちの作った道具、何が違うかといえば、やはり体験です。質がいいだけじゃだめなんです。提供できる体験が、いいものでないとならない。」

家っていうのはある意味究極の体験です。例えばトースターでの体験は、焼いてるとき・食事の時を含めても精々一日30分程度。しかし、家は常に体験の場です。会社に出勤したり学校に行っている時間を除いたとしても、間違いなく10時間以上は使用されると思います。毎日10時間以上使用されるものって、そうはないはずです。よほどのテレビ好きでもさすがに10時間は観ないでしょう。

また、住む人だけではなく、その家を訪れる親戚・ご近所・友人達にとっても体験の場となります。他人の家というのは結構興味を持つものだし、新築であればなおさら好奇心を刺激されるものです。そんな人たちが家を訪れたとき、この家面白いな、こんな家に住みたいな、と思ってもらえたら、それは素晴らしい「体験」を提供したことになるはずです。

「普通の家」ではそういった体験は提供できません。普通のトースターに焼かれたパンは普通のパンです。かといって、変わっただけの家でも、変わってるなあという最初の印象だけで終わってしまいます。バルミューダのトースターでパンを食べる時のように、住んでいる人たちが日常生活をおくるなかで毎日のように「体験」できる、そんな家づくりをしていきたい、というのが私たちの想いです。