ZEH住宅のつくりかた2

ZEHビルダー

前回のブログでZEH住宅に要求される断熱性能に触れましたが、断熱性能だけではZEH住宅とはなりません。(水戸市近辺で)ZEH住宅として認められるには、下記の4つの項目をすべて満たす必要があります。

1.強化外皮基準 UA値 4~7地域:0.6[W/㎡K]相当以下
2.再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費削減
3.再生可能エネルギーを導入(容量不問)
4.再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

1のUA値わかるとしても、2~4はなんのこっちゃという感じですよね。
これらの項目は一次エネルギー計算をすることによって、確認していくことになります。一次エネルギーはエネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)というサイトに数値を入力して計算します。

エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版) Ver 2.5.4
https://house.app.lowenergy.jp/

数値を入力して項目を選択していけば、サイト側で自動的に計算をしてくれます。
というか、このサイト以外での計算は認められません。どのメーカーや工務店で建てようがすべて共通です。

ここからは例として、前回のブログでつくった住宅を使用して説明をしていきます。断熱性能等の計算をした結果の数値がこちらになります。
ZEH住宅計算ZEH住宅計算2

基本情報・外皮

主たる居室 23.19m²
その他の居室 43.89m²
合計 107.65m²
地域の区分 5地域
年間日射地域区分 A3
外皮面積 280.23m²
UA値 0.59W/(m²・K)
ηAH値 2.2
ηAC値 2.3

まずはこれらの数値を最初の1ページ目、2ページ目に入力します。
主たる居室はLDK、その他の居室は寝室等を指します。
地域の区分は、その地方の寒暖を表します。数値が小さいほど寒い地域となります。
北海道が1,沖縄が8です。茨城だと主要な地域が5、東京ならたいていの地域が6になります。
外皮面積は建物全体の床・壁・天井を足した数値となります。
η(イータと呼びます)ACは夏場の日射取得率、低いほど日光が入らないということなので、断熱に有利になります。
ηAHは冬場の日射取得率、こちらは熱を取り込むわけですから高い方が有利になりますが、ηACほどは数値的な影響がありません。

通風の利用、蓄熱の利用、床下の利用、これらは一般的なZEH住宅の場合、どれも利用しないを選択します。

暖房・冷房

3ページ目・4ページ目のこちらは、使用する暖房冷房設備を設定する項目です。
たいていの方はルームエアコンディショナー、つまりはエアコンを選択する方が多いかと思います。
エアコンを選ぶと、今度は評価方法の選択という項目があります。こちらは、エネルギー消費効率の区分を入力する、を選択します。すると、エネルギー消費効率の区分という項目がでます。

エネルギー消費効率の区分とはなにかといいますと、省エネエアコンの性能を表します。
(い)は高性能省エネタイプ・各社のフラグシップエアコンが該当します。
(ろ)・(は)は普及タイプのエアコンとなります。

例えばダイキンのエアコンだとこんな感じですね。

ダイキン ルームエアコン 性能値一覧表
http://www.daikinaircon.com/catalog/sumai_horeiseido/pdf/primary-ra-2018.pdf

ZEH住宅の場合、BELS認証というのを取得する必要があるのですが、こちらの添付書類にはエアコンの型番と省エネ性能区分をつけなきゃいけないんですね。
つまり、ZEH住宅を建てる場合、建てる前につけるエアコンを決めておけないといけません。年度が変わって型番が変わったくらいであれば書類の差し替えで済みますが、引き渡し直前に予算がないからやっぱり安いエアコンにしよう、なんてことは難しくなります。
ZEH住宅の場合、最初から各メーカーのフラグシップモデルのエアコンを購入する費用をみておく必要があります。

換気・熱交換

こちらでは換気のタイプを選択します。
全館ダクトの熱交換器タイプであれば、ダクト式第一種換気設備
普通の換気タイプであれば、壁付け式第二種換気設備または壁付け式第三種換気設備
一般的にはこの二つのどちらかであることが多いかと思います。
熱交換器を使う場合、使用するメーカーと型番を確定させて、カタログの数値を使用します。

給湯・照明

この項目では建築予定の住居に設置する設備機器と照明機器を選択します。
普通の住宅であれば浴槽は必ずありますので、最初のは給湯設備がある、を選択します。
次の項目ですが、給湯機器は様々な種類があるので、項目もたくさんあります。
一番使われることが多いエコキュートの場合、給湯専用型電気ヒートポンプ給湯器(CO2冷媒)を選択します。

評価方法の選択では、エコキュートの場合、JIS効率を入力する、を選択肢し、設置するエコキュートのJIS効率の数値を入力します。
JIS効率はエコキュートのメーカーカタログ等に載っていますので、それをそのまま入れるだけです。

例えばパナソニックの製品であれば、こんな感じで型番ごとにJIS数値が書いてあります。
http://sumai.panasonic.jp/hp/topimg/eco_lineup.pdf

ふろ機能の種類は、現在の住宅ではふろ給湯機に追焚き機能は標準でついていますので、そちらを選びます。

配管方式ですが、一般的な住宅であれば、ヘッダー方式配管径13A以下が標準です。

水栓の項目ですが、こちらはメーカーでZEH住宅対応品を謳っているものであれば、その他の水栓とし、細部の項目のそれぞれの機能を採用する、にします。対応品を設置しないのであれば、2バルブ水栓(ごく普通の水とお湯を選ぶ水栓)とします。高断熱浴槽も、メーカー側で対応品であるかそうでないかを教えてもらえるはずです。

この項目は住宅に必須である、キッチン・ユニットバス・洗面化粧台に該当します。
ZEH住宅を建てようとする場合、設計の段階でキッチンに付ける水洗器具・ユニットバスにつけるシャワーヘッド・洗面化粧台に使用する水洗器具が確定していないといけない、ということになります。キッチン・ユニットバス・洗面化粧台、全部BELS申請の添付書類になりますので、基本的には後からの変更はきかなくなります。

照明の項目ですが、今の照明器具はLEDが主流ですので、レトロな家を作るので白熱電球を使用したい、なんてことがなければ、すべての機器をLEDとします。
調光に関しては、シーリングライトであれば、今のシーリングライトは調光機能がありますので、採用するを選択します。
人感センサーは、玄関やトイレに人感センサーを設置する場合、採用するを選びます。

太陽光・太陽熱・コージェネ

ZEH住宅の場合、太陽光パネルの設置は義務のようなものです。
再生可能エネルギーというのが、実質太陽光発電を意味するからです。
太陽光の項目は、メーカーからきた資料の数値をそのまま記入する形になります。
なお、メーカー側でも太陽光発電の試算を出すかと思いますが、その数値はZEH住宅の計算には採用されません。使用されるのはシステム容量だけです。
ここでは仮の数値として、システム容量5KW・真南向き・屋根勾配30度としておきます。

太陽熱・コージェネを採用する場合は、太陽光と同じくメーカーが用意した資料に基づいて記入していきます。

すべての項目を選択し終えた後、サイトの右上にある計算をクリックすると、サイト側で自動的に計算がされます。計算が終わると、その右にある出力がクリックできるようになるので、そちらをクリックします。
すると、出力する様式を選択してください、と出るので、建築物エネルギー消費性能基準、のH28年4月以降PDF出力をクリックします。
クリックすると、以下のような画面のPDFが出てきますので、保存します。

次に、こちらのサイトから、ZEH・ゼロエネ相当一次エネルギー消費量計算シートという、エクセルファイルをダウンロードしてください。
ダウンロードしたエクセルファイルにPDF出力された計算結果を入力していくと、ZEH住宅に該当しているかどうかがわかります。
ZEH住宅計算4
こんな感じですね。
これで、この住宅がZEH住宅に該当していることがわかりました。
さて、ZEH住宅を建てる目的なんて、ぶっちゃけて言ってしまえば補助金目当てです。
これでOKってなってるし、申請すればZEH住宅の補助金が貰えるんだ、と思いきや…実はなりません。
ZEH住宅の補助金は申請した建物がすべて貰えるわけではなくて、一定の数値に達してないと補助金貰える住宅とはみなされず足切りされます。
補助金の枠より申請数のが断然多いので、ZEH住宅の数値ギリギリだとダメなようです。
じゃあ、ZEH住宅として定められた数値って何なのって言われたら、…何なのでしょうねえ。